中川 由郁
【はじめに】薬剤師の医師に対する情報提供の手段として、口頭での提供や、カンファレンスの参加の他に、診療録の一元化が求められており、電子カルテ導入の促進が見られる。しかし、当院では現在計画段階のため、電子カルテに代わる情報の共有化の手段として、2004年11月より診療録への薬歴記載を開始した。今回、その内容と他職種からの意見を報告する。
【方法】診療録管理委員会のもと、薬剤師、理学療法士、栄養士が診療録への記載を行った。薬剤師においては、薬効説明の要点や患者の病態に応じた薬物療法を行うための注意喚起を記載した。実施による変化を検討するため、開始前後3ヶ月間のプレアボイド症例数を基に比較を行った。比較の内訳は「①薬剤の禁忌項目の情報提供」(ex.重篤な肝障害に酒石酸ゾルピデム禁忌)「②適正使用への推進」(ex.手術予定患者の抗血小板薬中止)「③薬剤使用上の注意喚起」(ex.腎障害患者へのH2拮抗薬使用)とした。情報提供の手段としては、①は緊急を要することから主に医師へ口頭で行い、②、③は内容に応じて診療録への記載と口頭で行った。
【結果】診療録への記載の開始により、医師への情報提供を行う手段が1つ増えた。プレアボイド症例数は、②では変化が見られなかったが、①では若干、③では大幅に増加した。また、以前は看護師を介して医師へ申し送ることがあったが、診療録記載後は直接情報提供できるようになった。薬剤師の記載に対する医師からの反応も見られた一方、薬剤師が記載した禁忌薬剤が処方された例もあった。
【考察】①は、医師へ口頭で行う例が多数を占めているため、診療録への記載による変化は無いと判断できる。②は、多くの症例に医師の受け入れがあったことから、診療録への記載が処方する上で参考にされたと考えられる。また、③は従来、薬剤師が独自で注意を払っていたが、医師へ情報提供する機会が得られなかった。しかし、診療録への記載開始後は、全ての症例において情報を提供できるようになっている。そのため、結果的には処方変更に至らないが薬物治療を続ける上で医師、薬剤師共に注意すべき点が共有でき、経過観察に活かされるようになったと考えられる。しかし、薬剤師の記載を医師が確認しない時もあり、内容に応じて口頭と診療録への記載とを区分した上で、今後も積極的に働きかけていきたい。